インドネシアの祝日とCuti Bersamaの違い|企業実務への影響を解説

Cuti Bersamaとは、有給休暇の一斉取得を政府が奨励する日です。祝日とは異なり、民間企業に一律の休業を義務付けるものではありません。インドネシアでは、翌年度の祝日や有給休暇一斉取得奨励日が公表された後に、日程の変更や追加が突然発表されることがあります。

今回も、政府から8月18日を休日とする方針が公表されました。当初は「祝日(Libur Nasional)」とされていましたが、最終的には「有給休暇一斉取得奨励日(Cuti Bersama)」へ変更されています。

独立記念日である8月17日が日曜日に当たり、国民が十分に独立記念日を祝えるようにすることが、その理由とされています。

ただし、8月17日が日曜日になること自体は、年間の祝日を設定する段階ですでに分かっていたことです。インドネシアでは、祝日やCuti Bersamaが後から変更・追加されることが過去にもあり、事業計画や勤務日程を事前に確定している企業にとっては、対応に苦慮するケースがあります。

それでは、「祝日」と「有給休暇一斉取得奨励日」では、企業実務上どのような違いがあるのでしょうか。

Cuti Bersamaと祝日の違い

両者の大きな違いは、民間企業における休日としての取扱いです。

区分 基本的な取扱い
祝日(Libur Nasional) 原則として休日として扱う日
有給休暇一斉取得奨励日(Cuti Bersama) 年次有給休暇を全社員で一斉取得することを政府が奨励する日

祝日は、原則として会社を休みにする必要があります。

一方、Cuti Bersamaは、民間企業に対して一律に休日とすることを義務付けるものではありません。実際に休業日または有給休暇の一斉取得日とするかどうかは、会社と従業員の合意や就業規則などに基づいて判断します。

祝日にできること・できないこと

祝日は、その日に特別な意味があるため、原則として休日となります。

通常の週休日については、業務の都合により別の日を休日とし、振替出勤日を設定することがあります。一方、祝日は原則としてその日自体が休日となるため、通常は別の日への振替を行いません。

ただし、実際の出勤日や休日については労使の合意に基づいて決定されます。そのため、労使が合意したうえで祝日に勤務すること自体が、直ちに政府から違反として処罰されるということではありません。

祝日に勤務させる場合は時間外労働賃金が必要

祝日に従業員を勤務させた場合、その労働は休日労働となり、時間外労働賃金を支給する必要があります。

今回のように、すでに勤務予定や生産計画を組んだ後で祝日が急に追加されると、業務上の理由から出勤しなければならない従業員が発生する可能性があります。

休日に8時間勤務した場合の時間外労働賃金は、通常の勤務時間に換算すると、おおむね15.5時間分、約2日分に相当します。

そのため、多数の従業員が休日出勤することになれば、企業の人件費負担は大きく増加します。

急な祝日の追加は、次のような企業に特に大きな影響を与えます。

  • 工場の稼働日程を事前に決めている企業
  • 顧客との納期が決まっている企業
  • 物流や輸送を止めることが難しい企業
  • 店舗やサービスを継続する必要がある企業
  • シフト勤務を採用している企業

祝日として追加された場合、企業は業務を停止するか、休日労働賃金を支払って稼働を継続するかを判断しなければなりません。

Cuti Bersamaにできること・できないこと

Cuti Bersamaは、日本語では一般に「有給休暇一斉取得奨励日」と訳されます。

その名のとおり、従業員が年次有給休暇を全社員で一斉に取得することを、政府が企業に対して奨励する日です。

重要なのは、民間企業が必ずCuti Bersamaを休日または有給休暇の一斉取得日に設定しなければならないわけではないという点です。

企業は、労使間の合意や就業規則などに基づき、次のような対応を検討できます。

  • 会社の休日とする
  • 年次有給休暇の一斉取得日とする
  • 通常の勤務日とする
  • 一部の部門のみ勤務日とする
  • 別の日を休日とする

したがって、祝日と比較すると、民間企業側に一定の判断余地があります。

Cuti Bersamaでも業務に影響が出る可能性がある

Cuti Bersamaを自社の休日にしない場合でも、通常どおり業務ができるとは限りません。

政府が雇用主となる公務員や政府機関については、Cuti Bersamaが実際の休日となります。また、国営企業についても休日として取り扱われることがあります。

そのため、次のような業務に影響が出る可能性があります。

  • 政府機関への申請や届出
  • 許認可に関する手続
  • 税務署や労働局への相談
  • 銀行手続や資金決済
  • 通関や港湾関連業務
  • 国営企業との取引
  • 政府機関の承認が必要な業務

中央銀行や金融機関の休日設定によっては、送金や決済にも影響が及ぶ可能性があります。

したがって、自社を通常勤務日とする場合でも、取引先、銀行、政府機関などの稼働状況を事前に確認しておく必要があります。

なぜ8月18日がCuti Bersamaに設定されたのか

インドネシアにとって、8月17日の独立記念日は非常に重要な日です。

政府機関や学校では独立記念式典が実施され、式典は曜日にかかわらず、原則として8月17日に行われます。

今回、8月17日が日曜日に当たるため、式典などに参加した従業員は、実質的に週末の休みを十分に取れないことになります。

そこで、翌日の8月18日を休日にする方針が検討されたものと考えられます。

ただし、8月17日に独立記念式典を行うことは以前から続いており、8月17日が日曜日になることも事前に分かっていました。

そのため、年間の祝日やCuti Bersamaを設定する段階ではなく、後になって追加されたことについて、企業側から戸惑いの声が出るのも自然です。

祝日からCuti Bersamaへ変更されたことによる影響

8月18日が祝日ではなくCuti Bersamaとされたことにより、民間企業にとっては一定の柔軟性が確保されました。

祝日の場合、原則として休日となり、従業員を勤務させる場合には休日労働賃金の支給が必要になります。

一方、Cuti Bersamaであれば、民間企業は労使間の合意や社内規程に基づいて、通常の勤務日とすることも検討できます。

ただし、政府機関や銀行などが休みとなる可能性があるため、業務上の影響が完全になくなるわけではありません。

企業としては、少なくとも次の点を確認する必要があります。

  • 自社では休日とするのか、通常勤務日とするのか
  • 年次有給休暇から控除するのか
  • 就業規則や労働協約にどのように定められているか
  • 従業員への周知が必要か
  • 顧客や取引先が営業しているか
  • 銀行や政府機関が稼働しているか
  • 生産、物流、納期に影響がないか

急な変更に備えて企業が準備すべきこと

インドネシアでは、年間の祝日やCuti Bersamaが公表された後も、追加や変更が行われる可能性があります。

そのため、企業は毎年の休日カレンダーを決定する際に、後から変更が起こる可能性を前提としておく必要があります。

就業規則や社内規程を確認する

祝日やCuti Bersamaの取扱いについて、就業規則、労働協約、雇用契約書などにどのように定められているかを確認します。

特に、Cuti Bersamaを年次有給休暇から控除する場合には、その根拠や従業員への周知方法を整理しておく必要があります。

休日変更時の社内手続を決める

休日が急に変更または追加された場合に、誰が会社としての対応を決定し、どのように従業員へ通知するのかをあらかじめ定めておくと、混乱を減らせます。

休日出勤コストを試算する

祝日に稼働を継続する可能性がある企業は、休日労働賃金がどの程度発生するかを事前に試算しておくことが重要です。

取引先や政府機関の稼働状況を確認する

自社が営業していても、取引先、銀行、税務署、労働局、通関機関などが休みであれば、通常どおりの業務を行えない場合があります。

まとめ

インドネシアの祝日とCuti Bersamaは、民間企業における取扱いが異なります。

**祝日(Libur Nasional)**は原則として休日であり、従業員を勤務させた場合には休日労働賃金の支給が必要です。

一方、Cuti Bersamaは年次有給休暇の一斉取得を政府が奨励する日であり、民間企業に一律の休業を義務付けるものではありません。実際に休日とするか、通常勤務日とするかは、労使間の合意や社内規程に基づいて判断します。

ただし、Cuti Bersamaであっても、政府機関、国営企業、銀行などが休みになることで、企業活動に間接的な影響が生じる可能性があります。

インドネシアでは、祝日やCuti Bersamaが後から変更・追加されることがあります。企業としては、政府の発表を継続的に確認するとともに、急な変更にも対応できる社内体制を整えておくことが重要です。

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