
インドネシアの日系企業における人事評価制度の作り方|評価にメリハリをつけるポイント
インドネシアの人事評価では、毎年発表される最低賃金をもとに、労働組合との合意や会社決定により昇給額を決めることがあります。その際、ベースアップだけでなく、査定結果を加味して賃金調整を行うことが一般的です。
しかし、実務上は、部下から提出される評価結果が平均的な評価に偏ることがあります。よい評価も悪い評価も少なく、結果としてほとんどの社員が同じような評価になってしまうケースも少なくありません。
なぜそのような評価になってしまうのでしょうか。また、どのように指導すれば、メリハリのある評価を出せるようになるのでしょうか。本稿では、インドネシアの日系企業における人事評価の実務上のポイントを整理します。
インドネシアの人事評価で人数割り当て制は有効か?
インドネシアの職場では、評価や処遇について、「公平な差」よりも「同じように扱われること」を重視する傾向が見られる場合があります。
日本では「出る杭は打たれる」と言います。一方で、インドネシアでは、抜きん出た社員が必ずしも「打たれる」わけではありません。ただし、周囲との差が大きくなることで、本人が居心地の悪さを感じる場合もあります。
そのため、評価に大きな差をつけることを避ける傾向が生じることがあります。
このような状況で、メリハリのある評価を行うために、評価ごとに人数を割り当てる会社もあります。たとえば5段階評価の場合、Aを対象社員数の5%、Bを10%、Cを70%、Dを10%、Eを5%とするような方法です。
社員数が多い会社であれば、このような割合は一定の目安になります。また、全社的な評価のばらつきを調整することも可能です。
一方で、部署ごとの人数が少ない場合には、C評価以外をつけにくくなることがあります。そのため、まずは各部署で実態に基づいて評価を行い、最終的に全社で評価分布を調整する方法も考えられます。
ただし、評価ごとの人数割り当てを強制すると、評価者や社員に不公平感が生じることがあります。特に、低い評価を受けた社員に対して「会社から割り当てられた人数があるから」と説明してしまうと、評価結果が本人の改善につながりにくくなります。
それでは、人事評価が昇給や賞与を計算するためだけの手続きになってしまいます。人数割り当てはあくまで目安とし、強制的に運用することは避けた方がよいでしょう。
なお、人数ではなく、支給金額の合計をもとに評価を調整する方法もあります。この方法の方が、運用上は多少柔軟に対応しやすい場合があります。
評価が平均的な結果に偏る理由
「普通」という評価は、評価者にとって心理的な負担が少ない評価です。では、なぜ「普通を超えている」「普通に満たない」といった評価をしにくいのでしょうか。
大きな理由は、達成すべきゴールが具体的に設定されておらず、感覚的に評価していることにあります。
たとえば、目標に「良好に」「円滑に」「迅速に」といった表現が使われている場合、評価者の主観が入りやすくなります。また、能力評価でも「理解している」「知っている」といった表現だけでは、どの水準まで理解していればよいのかが明確ではありません。
評価基準があいまいなままだと、評価者は部下からの反発を避けるために、極端な評価をつけにくくなります。その結果、評価が平均的な結果に偏りやすくなります。
メリハリのない評価の根本的な原因は、目標設定や評価基準のあいまいさにあります。
目標を設定する際には、「何を、いつまでに、どの水準まで達成すればよいのか」が分かる形にすることが重要です。特に、測定できる目標になっていない場合、評価者によって判断がばらつきやすくなります。
目標管理や能力基準を運用する際には、設定時の表現を丁寧に確認する必要があります。また、上司と部下で達成状況を確認し、同じレベル認識を持つことも重要です。
これができていれば、「目標に達していない」「期待水準を超えている」といった判断を、より説明しやすくなります。
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