第47回労務相談室BPJSの加入

通称BPJSと呼ばれる社会保障Badan Penyelenggaran Jaminan Sosialは労働Ketenagakerjaanと健康Kesehatanの2つに分かれていることは周知の事実です。そしてこの両方に社員を加入させる義務が会社にあることもよく知られています。ただ、その保障や雇用形態の違いによる加入制限などについては正しくご理解されている方が多くないかもしれません。今回はBPJSの詳細を掘り下げてみたいと思います。

【加入者と保障内容】

健康BPJSは社員1名の加入登録を行う際に家族カード(Kartu Keluarga/日本の住民票のようなもの)に含まれている人全員を登録することになります。一方労働BPJSは基本的に労働者のためのものですので、社員1名に対する加入登録を行います。健康BPJSは1名につき1登録、つまり同じ人を2つの会社で登録することができません。ですから社員が転職で入社した際には前の会社での登録を削除しなければ登録ることができません。けれども労働BPJSは1雇用につき1登録ですので、兼業している場合はそれぞれの会社で登録することが可能です。ただし老齢保障(JHT/Jaminan Hari Tua)や年金保障(JP/Jaminan Pensiun)はこれまでの積み立てに追加していく形の方が社員にとって有利なため、転職の場合は前社の登録を削除した後に登録する方が一般的です。
保障内容としては健康BPJSは医療保障のみですが、労働BPJSは5種類の保障からなっています。1) 死亡保障(JKM/Jaminan Kematian) 、2)労災保障(JKK/Jaminan Kecelakaan Kerja) 、3)老齢保障、4)年金保障、5)失業保障(JKP/Jaminan Kehilangan Pekerjaan)です。会社から追加の社員を登録すると自動的にその会社に該当する保険料率と賃金額を元にした保険料額が計算され、支払うべき保険料額がわかるようになっています。

【見習生のBPJS登録】

昨今ジャカルタ・ジャパン・クラブが非常に熱心に見習生(Magang)の使用を日系各社へ啓蒙活動を行っています。見習生は雇用ではなく会社という就労の場で教育を行うことが前提となっているため、教育省の管轄となっています。とはいえ現場での作業なども発生しますので、労働BPJSの死亡保障と労災保障への加入が義務付けられています。万が一に備えての対応としては適切だと思います。けれども労働BPJSのシステムで登録しようとすると加入する保障を選ぶプログラムは出てきません。5つのセットでないと加入できないようになっているのです。会社としては最低限のコストに抑えたいところですから、義務付けられていない保障には加入したくありません。こちらはシステムで登録するのではなく、必要事項を記入したエクセルファイルを労働BPJSに持参するというきわめてマニュアルな対応により可能になります。最初は手間がかかりますが、翌月からはメールベースなどでの対応も受け付けてくれるようですので、きちんと対応されることをお勧めします。