インドネシアの就業規則|「口頭注意」記載の不確実性

インドネシアに進出されている会社様で「口頭注意」という規定を設けているケースは少なくありません。

「警告書を出すほどではないけれど、注意はしておきたい」という意図から使われがちな「口頭注意」。

実はこの「法規に定められていない口頭注意」は、取り扱いに注意しないと現場に大きな混乱をもたらすリスクを秘めています。

今回は、口頭注意が引き起こすリスクと、社員の改善を促すための適切な運用方法を解説します。

口頭注意は「言った・言わない」の水掛け論の元凶

インドネシアの会社がよく用いる口頭注意は、書面を発行せずその場で注意するため、「言った」「言わない」の水掛け論になりやすいのが最大のデメリットです。

「以前も口頭注意したはずだ」として次の段階の罰則(警告書など)に進めようとしても、客観的な証拠がなければ罰則の正当性を証明できません。

「指導記録」の作成

部下を呼び出して注意した際は、必ず「カウンセリングシート」や「指導記録」を作成し、人事に提出・保管する仕組みづくりが不可欠です。

警告書との連動による運用の複雑化

インドネシアの多くの企業では、以下のようなペナルティの段階を設けています。

  • 第1段階:警告書

  • 第2段階:警告書(より重い措置)

  • 第3段階:解雇など

ここで問題になるのが、「第1段階の警告書が出ている期間中に、口頭注意レベルの軽い違反をした場合、どう扱うか」という点です。

パターンA: 軽い違反でも「期間中の再違反」として第2段階の警告書を出す

「違反の重さと処分が釣り合っていない」と不満やトラブルの原因になります。

パターンB: 「口頭注意2回で第1段階警告書1回分とみなす(0.5回カウント)」のようなルールにする

制度の管理が極めて複雑になり、現場で運用しきれなくなります。

【結論】口頭注意は「罰則」ではなく「日常指導」と割り切る

インドネシアの会社において、口頭注意による混乱を防ぐための最も効果的な解決策は、就業規則の「罰則」から口頭注意を外すことです。

日々の業務において口頭での指導や注意を行うこと自体はもちろん重要です。

しかし、それを他の公式な罰則と連動させたり、加重処分のカウントに含めたりすることは避けるのが賢明です。

すでに就業規則に書かれている場合の改善策

もし既存の規則に「口頭注意」が含まれており、現場でトラブルが頻発している場合は、以下のように「一定期間内の回数」を条件として明確化する規定への見直しをお勧めします。

【規定例】

「30日以内に3回の口頭注意(指導記録があるもの)を受けた場合は、第1段階の警告書発行の対象とする」

上司からの指導記録や宣誓書を伴う形で「複数回の指導があった事実」を客観化すれば、社員側も「注意されていない」と主張しにくくなり、公平な運用が可能になります。

まとめ

懲戒や罰則の本来の目的は、社員を排除することではなく「行動の改善と成長を促すこと」です。

目的を見失わず、社員にとっても会社にとっても納得感のある公平なルールになっているか、一度自社の就業規則と運用状況を見直してみてはいかがでしょうか。

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参考資料:Jaringan Dokumentasi dan Informasi Hukum (JDIH): Peraturan Pemerintah (PP) Nomor 35 Tahun 2021 Tentang Perjanjian Kerja Waktu Tertentu, Alih Daya, Waktu Kerja dan Waktu Istirahat, dan Pemutusan Hubungan Kerja