インドネシアでのHGB(建設権)|期限・更改手続き・注意点

インドネシアでのHGB(Hak Guna Bangunan:建設権)の存在をご存じでしょうか。

自社工場や拠点を所有・運営されている企業様におかれましては、
保有不動産のHGBの有効期限を正確に把握し、適切な管理することが求められます。

本コラムでは、実務上見落とされがちなHGBの有効期限に関する注意点、
ならびに具体的な更改手続きのフローと費用について解説いたします。

1. HGBとは

インドネシアにおけるHGBとは、Hak Guna Bangunan(建設権)の略称です。

HGBの目的と発行機関は以下になります。

名称 HGB:Hak Guna Bangunan(建設権)
目的 他者(国、あるいは所有権者)の土地の上に、建物を建設し、所有するための権利。
対象者 インドネシア国民、およびインドネシア国内に設立された法人(PT PMA(外資会社)を含む)=外国人(個人)は含まない
用途 工場、オフィスビル、商業施設などの建設の際に必要。
発行機関 BPN(国家土地庁)

HP(Hak Pakai:使用権)との違い

 

名称 HP:Hak Pakai(使用権)
目的 国または他者が所有する土地を「使用する」、あるいはその土地から「収益を得る」ための権利。
対象者 インドネシア国民
インドネシア法人(PT PMA(外資会社)含む)
インドネシアのITAS(一時的在留許可(就労ビザ等))やITAP(永住権)を持つ外国人(個人)
外国法人の駐在員事務所
などが取得可能。
用途 主に居住用住宅(アパートメントや戸建て)の購入など。
発行機関 BPN(国家土地庁)

HP(使用権)は、主に個人が不動産を取得(有効期限付き)するときに使用される権利です。

対して、HGB(建設権)は、原則として工業団地などに進出する日系企業(法人)が工場用地として取得する場合に使用される権利です。

2. HGBの有効期限に注意

インドネシアでのHGBの有効期限は、法令上「原則30年、その後20年毎に更改可能」と規定されています。

しかし、この「30年」の起算日について、「自社が土地を購入した日」であると誤認されるケースが散見されます。

実務においては、購入時からではなく、
工業団地会社が分筆前の「元のHGB」を作成した時点から30年として起算されている事例が多数存在します。

したがって土地購入時点で既に数年から十数年が経過している可能性があり、予期せぬ期限切れのリスクが潜んでいます。

HGBの延長手続き

インドネシアでのHGBの延長申請自体は、2年前から開始です。

しかし必要資料の準備期間も踏まえ、「期日の3年前」から手続き準備を開始する必要があります。

事業継続の観点から、至急お手元のHGB証書に記載されている期限をご確認されることを強く推奨いたします。

3. HGB更改にかかる公的手数料の計算式

現行の法規制(2015年政令128号)に基づく、
BPN(国家土地庁)へ納付するHGB延長の公的手数料は、以下の計算式により算出されます。

【HGB延長手数料(公的費用)の算出式】
(毎年1月1日に政府が決定する不動産課税評価額 [NJOP] / ㎡) × 土地面積(㎡) × 0.2% + 100,000ルピア

【試算例】

不動産課税評価額 [NJOP] / ㎡:3,000,000ルピア/㎡

土地面積(㎡):1ヘクタール(10,000㎡)

3,000,000 × 10,000 × 0.2% + 100,000 = 約 60,000,000ルピア

広大な敷地を保有する工場や企業様におかれましては、公的手数料のみで多額の支出となるため、
更改時期を見据えた事前の資金繰り計画への組み入れが不可欠です。

※上記はBPN(国家土地庁)へ納付する公的手数料のみの金額であり、
PPAT(土地登記書作成者、通常は公証人が兼務)へ支払う報酬等は含まれておりません。

更改期限が接近している場合は、速やかに担当公証人へ総費用の見積もりをご相談されることをお勧めいたします。

4. HGB更改手続きのフローと所要期間

更改手続きの開始から完了までは、概ね8カ月程度を要する長期的な手続きとなります。

弊社および公証人が支援する場合の標準的な手続きフローは以下の通りです。

【第1段階:書類準備および初期審査】(目安:開始から2~3カ月)

1 PBB(土地建物税)の納付 当該年度分の支払い確認
2 事前確認 BPN(国家土地庁)における必要資料の確認(弊社・公証人にて実施)
3 資料準備 企業様からの必要資料のご提供
4 申請提出 弊社・公証人を通じたBPN(国家土地庁)への資料提出
5 審査 BPN(国家土地庁)による検証および追加資料の提出対応
6 請求発行 BPN(国家土地庁)よりSPS(公的手数料、書類審査分)のBilling Code発行
7 手数料納付 第1回 SPS(公的手数料、書類審査分)の納付

 

 

【第2段階:実地検査】(目安:開始から5~6カ月)

1 第1回 立入検査(Periksa Lapangan) HGB記載の土地面積と実態の整合性確認
2 第2回 立入検査 上位役職者による再確認作業
3 請求発行 BPN(国家土地庁)よりSPS(公的手数料、立入検査分)のBilling Code発行
4 手数料納付 第2回 SPSの納付

 

 

【第3段階:最終承認および証書発行】(目安:開始から約8カ月で完了)

1 推薦状発行 BPN(国家土地庁)より推薦状の発行
2 決定書発行 BPN(国家土地庁)(本省または地方統括局)よりSK(決定書)の発行
3 請求発行 BPN(国家土地庁)よりSPS(公的手数料、最終審査分)のBilling Code発行
4 手数料納付 第3回 SPS(公的手数料、最終審査分)の納付
5 手続き完了 新規期限(20年有効)のHGB発行

 

5. 終わりに

HGBの期限管理は、インドネシアにおける事業継続の根幹に関わる重要なコンプライアンス事項です。

不測の事態を未然に防ぐため、改めて自社の不動産権利状況の点検をお願い申し上げます。

 

Keystone Consulting Groupでは、専門家とのネットワークを活かした法務・行政手続きのサポートも提供しております。

本件に関するご懸念やご相談がございましたら、こちらから弊社までお問合せ下さいませ。

【関連リンク】

Kementerian ATR/BPN:Perkuat Kepastian Hukum untuk Rumah Tinggal, Masyarakat Bisa Tingkatkan Sertipikat HGB ke HM Sekarang