
第12回労務相談室 未取得有給休暇権利
コロナ禍で在宅勤務が広がり、交通規制などにより旅行に行くことも、はたまた家族が集まることもはばかられた1年で、今年はほとんど年次有給休暇を取得していない社員が多いのではないでしょうか。一方で現行法規では年次有給休暇権利の有効期間は1年です。会社によっては各自の入社日ごとに年次有給休暇の権利を付与するのではなく、1月1日とか4月1日とかの特定の期日に全社員に一斉に付与し、同じ日に残存未取得有給休暇権利が無効になるという管理をなさっている会社も多いようです。特に特定日の一斉付与としている会社は同じ日に全員の有給休暇権利が無効になるため、社員が慌てて直前に有給休暇を取得する傾向があり、今年のような場合には会社の操業にも影響を及ぼす可能性があります。今年の年末などはすでに年次有給休暇一斉取得日が断食明け大祭のところから年末に移されたこともあり、連休の前に残存有給休暇を一度に取得されたら半月社員が会社に来ない、などということもあり得ます。何かもう少し調整する方法はないものでしょうか。
【有給休暇権利の買取は違法】
会社によっては残存未取得の有給休暇権利を買い取っている場合が見受けられますが、現行法規上これは違法です。インドネシアで未取得有給休暇権利の買取が認められているのは退職時のみなのです。この規定はあまり周知されておらず、社員や労働組合から買取を要求されることは少なからずあるのではないかと思いますが、本来はその要求は拒否し、有給休暇を取得させるべきなのです。会社の操業上可能であれば、有給休暇一斉取得日を設定し、休業してしまうということも可能ですが、残存日数が少ない人達からの反発はもちろん予想できます。落としどころを探る工夫が必要です。
【有給休暇権利の期限変更】
一方で有給休暇が1年で無効になるために、その残存日数を使わないと損だと思う社員が本当は必要でもないのに慌てて有給休暇を取得するという動きが出るのです。それならば今年だけ は半年もしくは1年有効期間を延⾧するというのはいかがでしょうか。現行法規で年次有給休暇の有効期間は1年と定められていますが、それよりも⾧い期間で取得できるというのは労働者にとってはプラスとなるため、これは違法とはみなされません。今後ずっと変更してもよいのであればそれを定めている現在の規定を変更すればいいでしょうし、2020年に発生した権利に限り特別処置を行おうというのであれば、その新規定を決定し、全社員に周知します。とはいえ有給休暇は労働者の権利ですので、規定変更は事前に労使の合意を取っておくことをお勧めします。
関連法規:2003年法律第13号第79条



