
第14回労務相談室不正と管理
コロナ禍による日本人出向者の一時帰国や、プロトコルを守るための在宅勤務推奨などによりオンラインでの承認やメールでのやり取りが増えています。これまで直接承認をもらいに机の前に来て、説明をしてサインをしていた時よりもうっかりした確認ミスが増えたりしていない でしょうか。人間は五感の2つ以上を一度に動かす方が記憶力も確認も詳細に深くできるもの なのだそうです。視覚と聴覚、時には指で文字をなぞって確認したりすると触覚も使いながら行う確認は、メールで黙って目だけで確認するよりもより正確になる傾向が強いのです。このように確認が甘くなっている隙間を察知した社員が不正をして、発覚時に愕然とするというケ ースをいくつか耳にしています。どのようにしてこのウィズ・コロナの中で不正を防いでいくことができるのでしょうか。
【権限とフローの見える化】
不正は不正のできる環境があることで発生します。もちろん不正を行った社員は悪いのです が、不正のできる環境を作った会社側の責任でもあります。不正を行う目的で入社してくる社員はほとんどいません。不正目的で入社するような社員の採用を避けるために前職等へ連絡し、退職理由などを確認することも可能です。一生懸命に働こうと思って仕事を始めたのにどこかでコツコツ働く以上の収入の可能性が見えてしまったことによってふと気の迷いが起こるのです。見つかりそうだと思えば怖くて思いとどまりますが、確認が甘いなど見つからないのではないかと思える状況があるとつい一歩踏み出してしまいます。 まず最初に定めておかなければならないのは決済権限と承認フローです。内容、金額などによって決裁権限を有する役職レベルは異なりますので明確にし、そして承認を得るためのフォー マットにそれを明記しておくことをお勧めいたします。そして承認を得る順序も見える化し、 事前の承認が終わっていないのに飛ばして行う承認を厳しく禁止する必要があります。PDFとスタンプですとバックデートした承認を見分けられないことがあります。E-mailの送信日とフォ ーマットの承認日が合っているか確認することも予防の1つになるでしょう。
【抜き打ちチェック】
不正を防ぐ最も効果が高い管理は社員に「自分は見られている」という意識を生むものです。もちろん決算や棚卸、内部監査といった定期的に行うものも大切ですが、時々突然確認するとショック療法として効果があります。大きな確認でなくとも突然何かの書類を持ってきてもらうように頼んだり、小口現金の残高を確認したりすると、不正を防ぐことができます。確認しなくともこまめに声をかけて顔を見るということだけでも異なります。放置や無関心が最も不正に踏み出させるきっかけですので、常に心掛けて会話することから始めてみましょう。



