
第22回労務相談室 契約社員の正社員登用
契約社員を用いる理由の一つにしっかり社員の能力や態度を評価し、満足できる社員のみ正社員登用をしたいという正直な理由があると思います。ですから契約期間終了の際に延⾧か、解約か、正社員登用かのいずれかを選択なさることになります。この正社員登用に係りオムニバス法での改定との関連で配慮すべき新しいポイントが出てきています。
【勤続期間の計算方法】
勤続期間は社員の権利を計算する際にしばしば基本となる大切な項目です。勤続期間は雇用形態に拘わらず、社員が会社と雇用関係を締結した時点から連続して雇用関係を継続している期間をいいます。たとえば最初は契約社員として1年間契約し、その契約を1年延⾧後正社員として登用したとしましょう。その社員が正社員として3年経過したところで吸収合併のため解雇となったとします。その場合の勤続期間は契約社員としての2年と正社員としての3年の合計5年となります。勤続期間5年の場合は退職手当6ヶ月分賃金、勤続功労金2ヶ月分賃金で す。吸収合併による雇用関係の終了時の倍率は退職手当も勤続功労金も1倍ですので、合計8ヶ月分賃金がその場合の退職金となります。 一方で契約社員の契約が終了するたびに謝礼金をすでに支払っています。この場合では2ヶ月分賃金の謝礼金を受領しているにも拘わらず、当該契約期間は退職金計算にも含まれます。
【重複支払いを避ける方法】
謝礼金は退職金とは異なりますので、同じ期間に対する2種類の支払いが行われることもあり得ますが、正社員として最初から採用していれば謝礼金の支払いはなかったので、ちょっと納得できない気分にもなります。何とか最初の2年間は謝礼金だけか退職金だけのいずれかにで きないものでしょうか。
「正社員に登用された場合は契約期間の謝礼金受領権利を放棄する」という項目を採用時に事前に合意したらどうでしょうか。2021年政令第35号第15条には「経営者は謝礼金を支給する義務を負う」と記載されています。これは経営者の義務ですので労使で支給しないことを合意 しても法の下で無効となってしまいます。では「契約期間は勤続期間に含めない」という合意も考えられますが、これも法規で定められた定義に反しますので無効になります。唯一の方法は契約を終了した後空白期間を設けて正社員として新規採用することです。空白期間があることにより雇用関係が連続していないことになります。とはいえ空白期間にはその社員が勤務し ませんので、業務の状況を見ながら可能性を探る必要があります。
関連法規:2021年政令第35号PP-35/2021



