第27回労務相談室 最低賃金設定(2)

最低賃金がいつになく揺れています。ジャカルタ州知事が2回も最低賃金設定を行ったかと思えば、西ジャワ州知事は最低賃金以上の人の最低昇給率について定めたようです。経営者協会は違法なので法的処理を取ると言っていますが、今どのように対応したらいいのでしょうか。

【最低賃金設定規則からみた違法性】

州最低賃金は11月21日までに、県/市最低賃金は11月30日までに設定し、翌年1月1日から施行ということが決まっています。この点から見ますとジャカルタ州知事が決定した2回目の州最低賃金は期限切れですので、2023年1月1日から適用するものとしてしか定められません。経営者協会が違法として訴えると言っていますが、現状ではまだいずれが有効なのかがはっきりしていない状態です。 一方2021年政令第36号第24条において第1項で最低賃金は当該会社で1年未満の勤続期間を有する労働者に対して有効となるとあり、第2項では1年もしくはそれ以上の勤続期間を有する労働者に対する賃金は賃金構成およびスケールに指針を置くとなっています。つまり勤続期間1年以上の社員に対する賃金は各社で設定するということであり、政府は設定できないということになります。この点から見ますと西ジャワ州知事が決定した勤続期間 1 年以上の社員に対する昇給率は政府の決定権限がないため、無効となります。

【実際の年次賃金調整方法】

違法と言っても現状では違憲判決は出ていませんので社員側からみると自分達に利益が多い決定を使おうとするでしょう。とはいえ本当はそれが合法で会社を義務付ける効力のあるものか どうかに一抹の不安は感じていると思います。一方で会社としては合法であれば遵守する気があるけれども、そうでなければ会社に有効な形で進めたいと思いますから、良好な労使関係を維持するためにはここは間を取るしかないでしょう。間違いなく合法と認められた方、つまり低い方をもとにまずは年次賃金調整を行いますが、違憲裁判所からの判決が出て新しい決定が合法であるとはっきりした時点でその有効となった時点に遡及して差額を支払うという約束を取り付けるのはいかがでしょうか。どのようなやり方でその差額とするのかも計算し、やり方も合意してしまう方がいいのではないでしょうか。たとえばジャカルタの場合は「1回目の決定と2回目の決定で定められた最低賃金額の差額を全社員に支給する」、西ジャワ州の場合は「義務付けられた昇給率と実際の昇給率の差額を各自計算し、全社員に支給する」というような具合です。会社によっては全社員同じ昇給率での年次賃金調整を行っていませんし、査定もありますので全員同じ率の昇給率にしてしまうのは弊害が発生します。それであればベアを設定する方法も可能でしょう。ベア率と義務付けられた昇給率の差額を必要に応じ支給すれば、 違憲判決が出た時に戻すという作業が不要になります。ご検討ください。

関連法規: 2021年政令第36号PP-36/2021