第28回労務相談室 賃金スケール

最低賃金規定がまだはっきりしない中、各社の年次賃金調整交渉が真っただ中ではないかと思 います。これまでずっと合わせてきていた州/県最低賃金の昇給が全くもしくはほとんどないという状況で、皆さん苦慮されているのではないかと思います。 一方で年次賃金調整が決定もしくは妥結しますと、次に取り掛からなければならないのが賃金スケールの改定です。今回はこの賃金スケールに焦点を当ててみましょう。

【賃金スケールとは】

現行法規では各社が賃金スケールを取締役決定書で定めることが義務付けられています。就業規則/労働協約の労働省/労働地方事務局への届出の際に提示を求められます。提示できないと 登録ができない仕組みになっていますので、必ず作成してください。賃金スケールとは「社員の賃金を役職や階級もしくは職務ごとに最低賃金と最高賃金を定め、全体の賃金バランスを確認するもの」です。理論的に計算した表やグラフで設定する会社もあれば、とりあえず現状に合わせて設定される会社もあります。労働省/労働地方事務局はその内容は問題にせず、実際にあることを見せることができればそれで問題ありません。現行法規では労働省/労働地方事務局は各社の賃金スケールを保管しないことになっていますので他社に漏れることはありません。賃金スケールを作成すること自体はそんなに難しいことではありません。あるべき姿であれ、 現状であれ文書を単に作成するだけです。けれどもこの取締役会で決定された賃金スケールは 各社員が当てはまる当該スケールのみは必ず各社員に通告しなければなりません。改定後は変更した部分の対象者のみに通告することになります。通告のしかたは定められていませんが、 通告したことの証拠を求められる場合がありますので、準備しておく必要があります。新しい賃金に変わった時の賃金明細に記載したり、掲示板に掲示したり、一人一人に説明したりと各社やり方は様々です。ただ紙面での通告を行うと、その紙面が一人歩きする可能性があります ので、配慮が必要です。

【賃金スケールの利用】

ではこの作成して、社員に通告した賃金スケールは就業規則/労働協約の届出のためのみに使うのでしょうか。実はこの賃金スケールは全社員の賃金状況の確認に役立ちます。たとえば役職ごとの最低賃金と最高賃金を定めているとします。どこかの役職に突出した金額の社員がいないかどうか、1つ高位/低位の役職との間のバランスはどうなっているかなどを当然確認することになります。賃金を変えることは難しいですが、この年次賃金調整の時期に基準に入らない社員を確認し、少しずつ調整していくことは可能です。あるべき上限を越えた高額となっている場合は昇進できるように能力向上の機会を与えたり、その可能性が少ない場合は賃金が頭打ちになることを本人に伝えたりすることが可能です。また降格した場合の減給基準としても用いることができます。インドネシアではまだまだ一般的でない降格による減給を実現可能にする鍵になることができるのです。

関連法規: 2021年政令第36号第IV章PP-36/2021 Bab IV