
第53回 労務相談室 辞職願提出期限
断食明け大祭休暇後は人の動く季節ですので、求職者も求人も活発になりがちです。となると当然争奪戦となり、早く入社してくれる人を選ぶなどという選択肢も出てきます。一方で退職される側としては作業が増え、作業効率も落ちる可能性があり、頭の痛い時期でもあります。転職するとしてもきちんと引継ぎしてほしいのが会社の本音ということで、辞職願をもっと早く出してもらえないものかというご相談をしばしば受けます。今回はこの辞職願提出期限について取り上げてみます。
【30暦日前より長い提出期限はあり得ない⁇】
辞職願の提出期限を30暦日前までとしている会社は非常に多いです。これは2021年政令第35号第36条i項に自己都合退職が満たすべき3つの条件のうちの1つとして「30日前までに辞職願を提出する」と記載されているからです。そしてこれらの条件をすべて満たした場合は送別金uang pisahを受領する権利が発生します。ですからそれに合わせて30暦日前までに辞職願の提出を義務付ける会社が多いのです。けれどもこれは「送別金を受領できる自己都合退職の条件」であり、会社の規定として辞職願の提出期限をもっと長くすることは実は可能です。実際に役職が高くなるほど辞職願の提出期限を長くされている会社はあります。とはいえ30暦日前までに辞職願を提出していれば送別金を受領する権利が発生しますので、「会社として違反」とする内容と送別金受領権利が一致しないことになりますが、このような会社の場合は30暦日前までに提出していても、会社の定めた提出期限を遵守していない場合の送別金額は減額するという規定が多いです。送別金規定は各社で定められますので、各社の方針に合わせた規定を定めることをお勧めいたします。
【辞職願提出期限の採用への影響】
現状30暦日前までの辞職願提出期限が大半であるので、採用する側は雇用条件に合意後1ヶ月したら入社してもらえると思います。そして実際そのタイミングでの入社が可能な人が多いところで自分の入社はもっと長く待ってもらわなければならないということになると、当然転職のチャンスを失う可能性はあります。ですから30暦日より長い辞職願提出期限を嫌がる傾向は強く、採用後試用期間中に就業規則/労働協約を確認し、慌てて逃げだす社員は少なからずいます。ジョブホッピングで給与アップを目指す、3年ごとくらいに転職するタイプの人達は特にそうです。逆にジョブホッピングできるということは能力を買おうとする会社が少なからずあるということで、即戦力として役に立つ社員が比較的多いとも言えます。ですからせっかく採用したけれども辞職願提出期限のせいで失う人材がいるということです。採用の手間が増え、結局長くした辞職願提出期限でも引継ぎができないということになりかねません。あちらを立てればこちらが立たずということになるわけですが、会社としていずれを大切にしたいかという選択になります。
関連法規:2021年政令第35号第36条



