
Indonesia retirement allowance | Calculation standards and cost reduction
インドネシアにおける退職金について、
コストダウンが急務となっている会社様より、
近年「退職金計算」を視野に入れた賃金体系の見直しに関するご相談が増加しています。
特にインドネシアは他国と比較して定年退職金の水準が高いと言われており、
退職金引当金を含めた財務的インパクトを軽減するため、退職金計算に含まれない支給方法を模索する動きが見られます。
本コラムでは、インドネシアにおける退職金計算の基準を整理し、
企業が検討しがちな「手当の支給方法変更」による対策とその潜在的なリスクについて解説いたします。
1. 退職金計算の基準:月額定賃金(Upah Tetap)とは
インドネシアにおいて、退職金の計算基礎となるのは「月額定賃金(Upah Tetap)」です。
これは毎月定額で受領する賃金を指し、以下の2つの要素で構成されます。
| 基本給(Upah Pokok) | 月額定賃金の75%以上を占める必要があります。 社員の注目度も最も高く、これを減額するなどの直接的なコストダウンは現実的ではありません。 |
| 定額手当(Tunjangan Tetap) | 勤怠や成果等の影響を受けず、毎月定額で支給される手当です。 月額定賃金の最大25%を占めます。 |
企業が注目するのは、この最大25%を占める「定額手当」の取り扱いis.
手当そのものを廃止するという極端な策ではなく、毎月の従業員の実質的な手取り額を維持しつつ、
退職金計算の対象外とするための工夫が検討されています。
2. 定額手当を退職金計算から外す「3つの対策」とリスク
実務上、企業が検討する代表的な手法は以下の3つに大別されます。
それぞれの仕組みと、それに伴うリスクを下表にまとめました。
| 対策アプローチ | 具体的な変更手法 | 退職金計算への影響 | 留意点・引き起こされるリスク |
| ① 非定額手当への移行 | 月額定額での支給をやめ、「1日当たりの金額設定×出勤日数」での支給に変更する。 |
対象外となる(非定額手当となるため) |
役職手当、家族手当、住宅手当などを「勤怠連動」にするのは本来の手当の趣旨から外れ、従業員の不信感を招く。 |
| ② 現物支給(便宜)への切り替え | 交通手当を「車両貸与」に、住宅手当を「社宅提供」になど、現金ではなく現物(Fasilitas)で支給する。 |
対象外となる(賃金ではなく「便宜」とみなされるため) |
現物の維持管理費や手間が新たに発生する。また、状況により現物支給が所得税の課税対象となるため、税務上の確認が必須。 |
| ③ 退職前の役職解任(極端な例) | 定年退職前に「引継ぎ期間」を設け、役職を解任することで、 役職手当やそれに伴う特別手当の支給を停止する。 |
対象外となる(退職日の賃金が計算基礎となるため、減額後の基準で計算される) |
高位の役職者へのダメージが大きく、会社に対する不満が爆発する恐れがある。長年貢献した社員を冷遇する姿勢は、他の社員の士気低下も招く。 |
3. コストダウンと労使関係のバランス
上記のように、制度の隙間を突くような形で手当の性質を変更すれば、
理論上は退職金コスト(および退職金引当金)を圧縮することは可能です。
しかし、コスト削減のみを追求した結果、
従業員が「会社から不当に手当を削られている」「長年働いても最後には冷遇される」と感じてしまえば、本末転倒です。
特に③のような退職直前の役職解任といった強硬策は、
対象者のみならず、それを見ている現役世代の会社へのロイヤリティを著しく低下させます。
互いに信頼し、尊重する労使関係は、企業の持続的な成長において不可欠な無形資産です。
賃金体系の見直しを行う際は、目先のコストダウン効果だけでなく、
手当の本来の目的との整合性、管理コストの増減、税務リスク、
そして何より「社風や従業員エンゲージメントに与える影響」を総合的に評価し、慎重に設計することが求められます。
弊社Keystone Consulting Groupでは、法的な適合性だけでなく、労使の信頼関係維持にも配慮した最適な人事制度構築をご支援しております。
賃金体系の見直しにご不安がある場合は、ぜひ一度専門家にご相談ください。
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