インドネシアの会計監査とは|税務監査との違いと日系企業の実務対応

インドネシアでは12月決算の会社も多く、年末が近づくと、決算や年度末の会計監査について準備を始める時期になります。

会計監査は、税務署が行う税務監査とは目的も実施主体も異なります。日系企業の管理部門にとっては、監査法人からの資料依頼にどのように対応するか、いつまでに決算資料を整えるかが重要な実務ポイントになります。

本稿では、インドネシアの会計監査について、税務監査との違いにも触れながら、日系企業が確認しておくべきポイントを整理します。

インドネシアで会計監査が必要となる会社

日本では、会社法上の大会社、すなわち資本金5億円以上または負債総額200億円以上の会社などが会社法監査の対象となります。

インドネシアでも、一定の会社については、財務諸表を公認会計士により監査することが求められます。会社法第68条では、たとえば次のような会社が監査対象とされています。

  • 公衆から資金を集め、または管理する会社
  • 社債などを発行している会社
  • 上場会社
  • 国有会社
  • 資産または売上が一定額以上の会社
  • その他、法令により監査が求められる会社

そのため、すべてのインドネシア法人が一律に会計監査を受けるわけではありません。

ただし、日系企業を含む外資系法人では、実務上、監査済み財務諸表が必要となる場面が少なくありません。たとえば、日本本社への報告、銀行借入、株主対応、年次財務報告、ライセンス・コンプライアンス対応などのために、監査を受けるケースがあります。

したがって、日系企業では、自社が法令上の監査対象に該当するかだけでなく、実務上、監査済み財務諸表が必要となる場面がないかも確認しておく必要があります。

会計監査と税務監査の違い

会計監査と税務監査は、どちらも「監査」という言葉を使いますが、実施主体、目的、頻度が異なります。

会計監査は、公認会計士または監査法人によって行われます。目的は、会社の財務諸表が会計基準に従って適正に作成されているかを確認することです。通常は、年度決算ごとに行われます。

一方、税務監査は税務署によって行われます。目的は、税金の計算や申告、納付が正しく行われているかを確認することです。税務監査は毎年必ず行われるものではなく、税務署の判断により実施されます。

つまり、会計監査は「財務諸表が会計上適正か」を確認する手続きであり、税務監査は「税務申告や納税が正しいか」を確認する手続きです。

この違いを理解していないと、監査法人からの資料依頼と税務署からの資料依頼を混同してしまうことがあります。実務上は、会計監査と税務監査を分けて考えることが重要です。

会計監査では何を確認されるか

会計監査では、決算書の各科目が適切に表示されているかを確認します。

たとえば、現金、預金、売掛金、棚卸資産、固定資産、買掛金、未払金、親会社ローン、資本金、売上、売上原価、販売費及び一般管理費、営業外費用などが確認対象になります。

監査人は、これらの科目について、領収書、請求書、銀行明細、預金通帳、売上データ、検収書、契約書、固定資産台帳などの証拠資料と照合します。

また、単に証憑を確認するだけではありません。前期比較や月次推移などの変動分析、将来計画の確認、税金計算の妥当性の確認なども行われます。

その結果として、監査人は、財務諸表が会計基準に従って適正に作成されているかについて意見を表明します。

監査をスムーズに進めるための実務ポイント

会計監査をスムーズに進めるためには、年度末になってから慌てて資料を集めるのではなく、月次の段階から会計処理と証憑管理を整えておくことが重要です。

仕訳の誤りが少なく、社内でダブルチェックが行われている会社では、監査人からの質問や追加資料依頼も比較的少なくなります。その結果、監査意見の取得もスムーズになりやすいです。

一方で、仕訳の誤りが多い場合や、証憑の所在が不明確な場合には、監査人からの質問への回答に時間がかかります。資料提出が遅れると、監査の完了も遅れ、株主報告や本社報告、年次報告のスケジュールにも影響する可能性があります。

特に、以下の資料は早めに整理しておくことをお勧めします。

  • 銀行残高証明、銀行明細
  • 売掛金・買掛金の明細
  • 棚卸資産の明細、棚卸結果
  • 固定資産台帳
  • 主要な契約書
  • 借入金、親会社ローンの契約書・残高確認
  • 税金計算資料
  • 関連者取引の明細
  • 未払費用、前払費用の内訳

年度末監査を円滑に進めるためには、月次決算の精度を高め、資料の保管場所と担当者を明確にしておくことが重要です。

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