第4回労務相談室 コロナ禍の人件費削減

一向に新規COVID-19感染者数の減少が見えない中、今の状況が⾧引く予感があります。一方で在宅勤務として就業成果が出ている業種はまだしも、出社しなければ就業成果が出てこない製造業のような場合は操業制限や自宅待機でも通常通り生じる人件費が重くのしかかってきます。何とか会社を持ちこたえるためには固定費、中でも人件費削減が必須となる中、頭をよぎるのは賃金カットや人員整理。とはいえどのようにやっていけばいいのかもよくわからない。今回はこの2点に焦点を当ててヒントを探ってみましょう。

【賃金カット】

2020年3月17日付け労働大臣通達にて、インドネシア政府は労使の合意があれば賃金を控除することができると通達しています。とはいえ「労使の合意」を得るのは至難の業。無理だと諦めていないでしょうか。労働者側も自宅待機の日の交通手当や食事手当の支給が止まり、時間外労働もなくなり、実際の収入は減っていますので、これ以上減らさないでほしいというのは切実な願いかもしれません。けれども賃金減額はゼロよりはいいとも言えます。できる限りオープンな姿勢で会社の現状を説明し、まずは立ち向かってみませんか。基本給の減額は最後の砦です。まずは論理的に減らすことに納得感が多い手当の減額から交渉しましょう。また単なる減額となると抵抗が大きいですが、減額した分を後でまとめて支給するという方法も可能です。それを賞与などと組み合わせ、社員側からの努力があれば達成できる目標を設定し、やもすれば減額合計以上の賞与を獲得できるとするとのも1つの方法です。労使協議で合意が得られた場合は必ず書面での合意書を作成しましょう。労働組合がある場合は労働組合役員と、ない場合は二者協議会のメンバーで、二者協議会もまだ設置できていない場合は労働者代表と言える人達との間で書面を作成しておくとよいでしょう。

【人員整理】

賃金控除では足りない、どこかの部署全体を閉鎖せざるを得ない、などというもっと差し迫った状況の場合もあります。一般的にはこのような状況は「合理化による雇用関係の終了」というのですが、インドネシアでは違憲判決が下されたことにより、合理化を理由に解雇申請ができません。ですからこちらも労使の合意による雇用関係の終了に持ち込むしかありません。

この場合には事前の綿密なシミュレーションがとても大切です。法的にはこの場合の最終支払いは退職手当の2倍、勤続功労金の1倍、損失補償金(退職手当と勤続功労金の合計の 15%)の1倍、未取得年次有給休暇権利の買取の合計となります。とはいえこのような時期に今後の収入が途切れ、職探しも難しいことがわかっている労働者の合意を法定通りでできるかどうかは各社の労使関係の状況と労働者に対する外部からの介入状況などによって大きく異なります。

連法規:2020年労働大臣通達No.M/3/HK.04/III/2020、2003年法律第13号