インドネシアでの守秘義務|情報漏洩リスクとその対策

インドネシアでの「守秘義務」対策、貴社は何を講じられていますか。 インドネシアではキャリアアップのための転職が一般的であり、業種によっては同業他社を転々と渡り歩くケースも珍しくありません。 こうした人材流動性の高いインドネシア市場において「守秘義務(機密情報の保護)」は極めて重要であるにもかかわらず、社内での論理武装やルール整備が追いついていない企業が散見されます。 情報漏洩によるダメージを防ぐためには、事後対応ではなく、「違反と認められるための規則整備」と「労使の確実な合意」、そして何より「社員への深い理解の浸透」が不可欠です。 では、企業は具体的にどのような準備をしておくべきなのでしょうか。 1. 守秘義務の定義と共有範囲の明確化 守秘義務とは、一言で言えば「定められた機密情報(それを含む文書や図面等)を、第三者に漏洩してはならないこと」です。 インドネシアの会社で従業員に守秘義務を徹底させるためには、「『どの情報』を『誰に対して』隠すべきなのか」を明確に定義することです。 「第三者」の範囲を明確にする 第三者とは、単に「社外の人間」だけを指すわけではありません。 情報によっては「アクセス権限を持たない社内の人間」も第三者に該当します。 誰がその情報を知って良いのか、社内外の境界線を引く必要があります。 「こんなの常識だろう」は危険なサイン 「言わなくても分かるだろう」という前提で守秘義務違反を問うことはできません。 例えば、人事スタッフがある社員の給与情報を他の社員に漏らせば違反ですが、その社員の評価権限を持つ上司が給与を知ることは問題ありません。 一方で、本人から自分の給与額を聞いた同僚が、さらに別の社員に言いふらした場合、それを守秘義務違反に問うのは困難です。 一つ一つの情報に対して守秘義務の有無を個別判断するのは非現実的です。 だからこそ、就業規則や労働協約に守秘義務条項を設け、「何が機密情報に当たるのか」を具体的に明記しておくことが、会社を守る第一の防壁となります。 2. 会社を守る盾となる「労使の合意」プロセス 会社が声高に「情報を漏らすな」と叫ぶだけでは効力を持ちません。 社員側がそれを認識し、合意している状態を作ることが必要です。 合意形成のステップとしては、以下のような方法が考えられます。 就業規則・雇用契約書による合意: 就業規則等で守秘義務を定めて周知した上で、雇用契約書に「全社内規則の遵守」を義務付ける一文を盛り込み、署名させる。 労働協約による合意: 労働組合がある場合、労働協約に守秘義務条項を設けて合意する。(組合との合意は、社員代表との合意として全社員に効力を持ちます) とはいえ、社員により深く当事者意識を持たせ、確実な遵守を促すためには、「個別の守秘義務合意書(NDA)」を作成することが最も効果的です。 特に新入社員には入社時の雇用契約に組み込み、既存社員には個別に署名を求めることで、会社としての毅然とした姿勢を示すことができます。 3. 「退職時の合意」締結のベストタイミングとは 実務上よく見受けられるのが、「退職時に守秘義務合意書にサインさせる」という運用です。 確かに効力はありますが、このタイミングでの締結には大きなリスクが伴います。 同業他社へ自己都合退職する社員の場合、現職で得た情報こそが転職先への「手土産」となるケースが少なからずあります。 そうした社員に対して「サインしないと退職させない」と迫っても、そもそもサインする法的な義務がない以上、強要はできません。 最悪の場合、サインを拒否したまま出社しなくなり、うやむやになってしまうこともあります。 守秘義務の合意は「入社時」締結がベスト 上記理由から、退職時ではなく、入社時に守秘義務合意書を作成することが最善です。 まだ締結していない場合は、「在職中」に早急に締結を進めるか、最低限、就業規則や労働協約に明記して徹底的に周知するかのいずれかの対応が急務となります。 まとめ:人材流出を考慮した守秘義務の仕組みづくりを インドネシアでビジネスを展開する上で、人材の流出は避けられない前提として組み込む必要があります。 人が動くことを前提に、「情報が動かない」ための強固な仕組みづくり(ルールの明文化と事前の合意形成)を、問題が起きる前に完了させておきましょう。 就業規則、雇用契約書、守秘義務合意書のレビュー等、労務に関するご相談は弊社Keystone Consulting Groupにお任せください。 貴社に合ったサービスを迅速に提供致します。 [ お問合せはこちらから(初回相談無料!) ] 参考資料:Jaringan Dokumentasi dan Informasi HukumContinue reading インドネシアでの守秘義務|情報漏洩リスクとその対策